それは一瞬の幻影。


ひらりと刹那に羽ばたき、そしてその羽はもがれる。






羽をもがれた蝶は落下し、地に落ちる。


地に落ちるその瞬間、その眼に映ったものは、何だったのだろうか。








                   がれた




「大兄貴?」


「・・・・・・お前等・・・・・・・」








自分を呼ぶ声に、顔を上げる。


其処に居るのは六人の弟分達。







いつもと同じように、其処に居た。









「なーにシケた顔してんだよ?折角の男前が台無しだぜ?」








がしがし、と頭を撫でられる。


その行動に少し笑みを零せば、同じ位置に合わせられた瞳が合った。











「大兄貴、俺達・・・・・・・・もう行かなきゃなんねぇから・・・・・・さ。」










もうちょっと一緒に居たかったけど、と悲しげに微笑み触れていた手を放した。









「大兄貴はさ、大兄貴の思うとーりにカッコ良く、好きに生きてよ。

 一緒に居れないのはちっと淋しいけど・・・・・

 待ってるからさ、俺達大兄貴のこと。

 ずーっとずーっと待ってるぜ。



 大兄貴が居なきゃ、『七人隊』は始まらないからさ。」









ニカっといつもと同じ子供のような笑顔を浮かべる。







俺の居場所は其処なんだ。


お前等が居なきゃ、俺の居場所は無いから。






だから、この世界には、もう。









「じゃー・・・・またなッ!!」


「・・・・・・・・嗚呼。」










ぶんぶんと手を振り、彼は他の五人の下へ駆け出していった。


すると、ぶわっと風が通り過ぎた。





あまりの突風に目を閉じる。






数秒して、目を開くと其処には彼等の姿は無かった。











それは刹那の夢だったのだろうか。


羽をもがれた蝶のように、地に墜ちた彼等が見せた最後の夢。









「そう待たせることは・・・・・ねぇかもしれねぇぜ。」









ぎゅっと拳を握り、側にあった己の獲物を手にした。


後ろから討伐隊の近づく気配がした。










「けどな、てめーらがくれた命、無駄にはしねぇぜ。」











最後まで、俺らしく、生きる。


向こうへ行った時に、あいつらに胸を張れるように。







『七人隊』の首領らしくな。











444のキリバンで、「百花繚乱」の桐生天空さんからいただきました!
素敵な小説です~(^^)
私にはとても真似できない、心に響く文体ですね♪
天空さん、ありがとうございました!!