かごめの呼気は時間を追うごとに熱を帯び、媚薬の効果は粘膜を介して、塗られていない部分にまで着実に浸食していった。
後孔の奥まで媚薬を行き渡らせた蛮骨は蛇骨が床に刺したままの匕首を抜き取り、かごめの手首を縛める縄を切り落とした。
「え……?」
かごめは予期せず自由になった両手に戸惑いながら、赤く擦り切れた手首を撫でた。
しかしすぐに我に返ると、散々に弄ばれた陰部を守るように覆い隠して身を縮める。
蛮骨はそんな彼女の両脇に手をついて、視線を合わせると不敵な笑みを向けた。
「抵抗しても良いぜ? できるもんならな」
そう言いながら片手で腰帯を解く姿に、かごめの肌が総毛立つ。
蛮骨の大きくはだけた襟元から無駄のない体躯が覗き、下肢の中心では欲の塊が待ち焦がれたようにかごめの方を向いていた。
「ひ……」
閉じようと力の入る膝を割り開き、守っていた手をあっさりと払いのけて、蛮骨は熱をもって上向いた自身をひだに擦り付けた。
わざと水音が立つような動きで何度も表面を往復させる。
「やだ……いやっ……!」
かごめは蛮骨の胸板に手を突っ張って身体をずり上げ逃れようとした。
その腰を捕まえて引きずり下ろし、大腿を限界まで開かせると体重を乗せてその秘裂にあてがう。
「やめて! ほんとに駄目! 腕のこと謝るから! もうしないから! やめて、やだ、や―――」
涙声の懇願が絶叫に変わった。
処女特有の抵抗をり開き、怒張が体内を貫く。
絹を裂くような悲鳴に心地よく耳を傾け、蛮骨はかごめの腹の上から己の先端があるであろう箇所を指先でつついた。
「まだ半分くらいしか挿入はいってないぞ? 全部挿れれば、この辺くらいまで届くかな」
滑らかな腹の上をつう、となぞる蛮骨の声が聞こえているのか否か、かごめは叫び続けて震える拳を叩きつけてくるが、それはなんの効力も持たなかった。
彼女の抵抗をまるで無視して一度入り口まで引き戻すと、今度は根元まで一気に叩きつける。
指とは比較にならない質量が狭い内部を容赦なく満たした。
「かっ…は……」
目を見開いた少女の華奢な体が跳ね上がり、涙と汗の滴が中空を舞う。
ひゅうひゅうときしんだ吐息が漏れる唇が戦慄わななき、呆然と呟いた。
「あ…うそ……うそ…こん、な……」
「嘘なもんかよ。しっかり銜え込んでるぜ。……ほら」
蛮骨はかごめの頭に手をかけると、無理やりぐいと下を向かせる。
かごめの眼前に、己の女の部分が蛮骨を深々と受け入れ、彼が緩やかに上下するたびに蜜と少量の血液を纏いつかせた幹が出入りする様がまざまざと見せつけられた。
「う……あ……あっ……痛あっ!!」
瞳が色を失い、声にならない悲鳴が喉からほとばしる。
それを心地良さげに聞きながら蛮骨は一方的に腰を動かし続けた。
肌を打ち付ける音と糸を引くような水音が悲鳴に交差しながら狭い堂の中に幾重にも響く。
かごめがどれほど激しく泣き叫ぼうが、蛮骨は眉一つ動かさない。
蛮骨の動きは次第に速さを増し、ひときわ強く奥を突いたかと思うと、急に静止した。
最悪の事態を察したかごめは掴んだ彼の腕にきつく爪を立てて叫ぶ。
「やだっ、だめ、外に――!」
その瞬間、体内でぴたりと最奥に押し付けられた先端が怒涛を吐き出した。
はらの底に熱い奔流を感じて、かごめの頭は真っ白になった。

達した後も引き抜くことなく動きを再開した蛮骨は、思い出したように目を瞬いた。
「ああそうだ。後ろにもたっぷり塗ってたんだったな」
蛮骨は上体を起こすと、かごめの背を抱き上げて己は後方へ倒れた。自然、かごめは彼の上にまたがる体勢になる。
自重によって深くまで貫かれ、下腹を押し広げられる圧迫感にかごめの柳眉がきつく寄せられた。
苦痛に顔を歪めながらも、抵抗する気力も体力も尽き果てたかごめは、絶えず小さな悲鳴を上げながらなすがままにされるばかりである。
蛮骨は細い腰をとらえ小刻みに下から揺らしながら弟分を呼んだ。
「蛇骨、後ろ使え」
「ああ? 後ろってケツの穴?」
頬杖をついて欠伸あくびを噛み殺していた蛇骨は、あからさまに嫌悪の表情を示した。
「女の尻犯したって楽しくねーよ…」
「犬夜叉を徹底的に絶望させてやろうじゃねぇか。いいから、首領命令だ」
視線を向けてくる首領に、盛大に肩をすくめる。
「あーもう、仕方ねえなー」
投げやりな態度で蛇骨はかごめの背後にまわり、手で刺激して半ば無理やり己を屹立させると、足を開いて身をかがめた。
かごめの顔が真っ青になる。
「だめっ…! そんなとこ入らな――」
彼女はせめてもの抵抗にそこを手で覆い隠そうとしたが、蛮骨が前方からその手首をとらえて引きはがした。
「知るか、よっ」
かごめの拒絶もむなしく、蛇骨は柔らかな尻の肉を乱暴に鷲掴んで左右へ広げ、露わになった小さな秘孔に自身を当てがうと一気に深々と挿し込んだ。
少女の両目がひび割れ、喉を破らんばかりの苦鳴が響き渡る。
すでに蛮骨を前の穴に受け入れた状態だというのに、後孔を問答無用に熱い塊がせり上がる。
そこから身体が引き裂かれ、ばらばらになってしまうのではないかと思うほどの痛みが突き抜けた。
「ああっ――!? あっ、い――痛……っ!!」
「きっつ……」
一息に根元まで突き込んだ蛇骨の眉間にしわが寄る。銜え込んだ穴の縁から赤い流れの筋がかごめの内腿を伝い落ちていく。
「おう、こっちも……締まりが一段と強くなって……」
蛮骨はかごめの背に腕を回し、目の前で激しく揺れる豊かな胸に顔を埋める。
男たちは好き勝手に腰を振り立てて内部を突き抉り、きつく締め付ける少女の身体に己を教え込むように奥の壁を叩いた。
前後から来る不規則な動きにかごめの肢体はなす術もなく蹂躙されていく。
「おら! 俺が早くイけるように、とっとと腰振りやがれ」
蛇骨が冷たい瞳で言い放ち、かごめの臀部を平手で叩く。ぱん、と張りのある音と悲鳴が重なって何度も暗闇にこだました。
「動け! 動けよ! ほら!」
「痛い! やめて、やめて、よ……!」
身体の上で繰り広げられる、苛立ちに任せて手を上げる蛇骨と泣き叫ぶ少女の姿に、蛮骨は面白い余興を楽しむかのように笑いを刻んだ。
「犬夜叉っ…いぬっ、や……!」
息を引きつらせながら途切れ途切れに犬夜叉を呼ぶかごめの襟元を飾る赤い布を掴んで引き寄せると、弧を描いた口で耳元へ囁きかけた。
「その調子だ。早く助けに来てくれるように、せいぜい一生懸命呼びな」
「ひっ…ぅ……っ!」
恐怖にかごめの呼吸が早くなる。胸を揉みしだく蛮骨の手に、その激しい鼓動が直接響いてくるようだった。
「いぬやしゃ…おねがっ…たす、け……!」
かごめの口から助けを求める声が漏れる。犬夜叉、仲間たち、家族──思いつくままに名を叫ぶが、悪夢は終わらない。
二本の怒張が体内の薄い壁を隔てて擦れあい、かごめの精神まで根こそぎ削り落とす勢いで、あえかな身体を激烈に振動させた。
嵐の海で翻弄される木の葉のように、ひたすら心も身体も揉みくちゃにされていく。
蛇骨がわずかな呻きを漏らすとともに、引き抜きかけたくさびを勢いをつけて奥深く叩きつける。それを受けて蛮骨もかごめの腿を下に引き寄せ、自分は逆らうように上へと突き上げた。
「あぁ――っ!」
下腹を貫く双方からの衝撃にがくがくと痙攣しながら首筋をのけ反らせ、かごめの全身が弓のようにしなる。
同時に前後の穴の最奥に熱い激流が注ぎ込まれた。
「ぁ……だめ…だ……め……」
二度、三度と大きく震えた後でかくりと力が抜け、糸の切れた人形のように少女の華奢な身体が蛮骨の上に崩れ落ちる。
最後の一滴まで出し切った蛇骨がずるりと一物を引き抜くと、ひくひくと小刻みに開閉するそこから白濁が追いすがるようにこぼれ落ちて床を汚した。
「ざまぁねえ」
くつくつと笑って蛇骨の白い足がかごめの臀部でんぶを踏みつける。その反動でさらに体内の液体がぼたぼたと押し出され、その光景を見た蛇骨は腹を抱えて笑い転げた。

蛮骨は、繋がったまま自分に身体を預けて泣いているかごめの細い肩に手をかけた。
身体を反転させると再び彼女を組み敷き、膝裏に手を入れて左右に大きく開かせる。
今し方放ったものが鮮やかな赤色を混じえて隙間から止め処なく溢れ出ていた。
「やだ……もう嫌……」
見る影もなく泣き崩れた顔で首を振るかごめを見下ろして笑みを深くする。
「ばーか、この程度で終わるわけねぇだろ」
「もう、許し、て…」
嗜虐的に見下ろしてくる蛮骨に、かごめは悲痛な面持ちで頭を振る。
「大兄貴はこっからが長いんだよな……」
ぼそりと呟いた蛇骨はげんなりした様子で適当に着物を直し、立ち上がった。
乱れた髪からかんざしを引き抜き、ぐしぐしと頭を掻きながら戸口へ向かう。
「じゃ、俺は犬夜叉探してくるわ。来るならいい加減そろそろだろ」
「おう、ちゃんと引きつけとけよ」
肩越しに応じた蛮骨だが、蛇骨に意識を向けたのはほんの一瞬だけで、瞬きの後には再び少女を視界の中心に据えていた。
蛇骨が出て行き二人きりになった堂内に、熱い吐息が満ちていく。傾いた建具の隙間から夜風が細く忍び込み、肌を撫でた。
目元を覆って泣きじゃくるかごめの手を取り、蛮骨はその顔を覗き込む。
「……優しくして欲しいのか」
「………う、ん……」
思いがけない蛮骨の問いかけに、かごめは身をすくませながらも一心にうなずく。
「そんなに?」
「お願い…っ、言うこと…聞くから……、許し、て……」
しゃくり上げながら懇願すると、枠だけになった窓から差す月明りの逆光の中で蛮骨がふっと笑った。
その眼差しはどこか穏やかで、気付くと身体をまさぐる手つきは先ほどより繊細なものになっている事にかごめは気付いた。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめ…な、さ……」
何に対しての謝罪なのかもわからないまま、うわ言のように謝り続ける彼女を遮るように、蛮骨が静かに唇を重ねた。かごめが驚いて息を止める。
口内へゆっくりと割り入る舌に乱暴さはなく、委縮するかごめを解すように少しずつ絡められていく。
しばらくして糸を引いて離れた唇を見上げて、かごめはかすれた声を出した。
「蛮…骨……」
「かごめ」
名を呼ばれると、これまでの緊張と恐怖からの反動で少しだけ肩の力が抜ける。物ではなく、人として扱われているような気がした。
蛮骨の顔がかごめの頬の横に下りた。舌が耳の付け根をなぞり、さらに下りて首筋に強く吸い付く。
指が、これまでの乱暴な扱いとは正反対なほど優しく身体の曲線をなぞっていく。媚薬の効果でいまだにほてり続けている肢体はわずかな刺激にも敏感に反応を示してしまう。
「んっ……」
「かごめ」
再び名を呼ばれて、かごめはぎゅっと目を閉じた。
――痛くないのなら、怖くないのなら、もうそれでいい。
そんな考えが脳内を埋め尽くしていく。
かごめは震える手を蛮骨の背に伸ばそうとした。
その時、ふ、とうなじに微かな吐息がかかり、彼がわらったのがわかった。
瞬間――、全ての音が消えた。
天頂の月が雲に覆いつくされ、堂内を真の闇が支配する。
「俺がお前をゆるす理由がどこにある?」
ぐちゃぐちゃに砕き折られた状態のかごめの思考の中に、その声だけが、いやにはっきりと響いた。


もやが薄れてきた頃、堂の扉が重い音を立てて内から開いた。
のんびりと蛇骨が振り返ると、腕を伸ばしながら蛮骨が出てくる。
肩に衣をひっかけて簡単に帯で留めただけの何とも悩ましい姿で蛇骨の隣に腰を下ろした彼は、清々すがすがしいほどにすっきりとした面持ちだった。
「いやー、何回でもできる。欠片の回復力すげぇ」
「それはそれは」
蛇骨が苦笑しながら水の入った徳利を差し出すと、受け取って喉を潤す。
「壊れた?」
「んー? さあ。反応無くなってつまんねえから一時休戦」
かごめの胸元にあった赤い布を手持ち無沙汰に弄りながら興味なさげに返す蛮骨に、蛇骨はちらと視線を流して開いた扉から堂の中を覗いた。
暗がりに、至る所を白や朱に染め上げて襤褸ぼろ切れのようになったかごめが全身をぴくぴくと痙攣させて横たわっていた。
潰れたかえるのように開いたままの足の間では、昨夜まで男を知らなかったとは思えぬほど無惨に散り荒らされた花弁がくたりと口を開き、大量の白い液にまみれている。
死んではいないようだが、とうに意識はないようだった。
一晩中響いていた悲鳴といくらかの嬌声から察しても、壊れていてもなんら不思議ではない。どちらにせよ蛇骨にとっては至極どうでもいい事だった。
飽きた様子で赤布をそこらに放り、柱に寄り掛かって涼んでいた蛮骨が蛇骨に視線を向けた。
「で? 犬夜叉は」
「結局来なかったぜ」
蛮骨は呆れた風情で目をすがめた。
「犬のくせに薄情な奴だ。今のあの女の状態、見せてやれたら面白いのになぁ」
「女が掻っ攫われたこと、まだ気付いてねーのかな?」
ややあって、蛮骨がふと小さく笑う。
「あいつはあいつで、別の女のところに行ってたりしてな」
「そいつぁ傑作だ」
蛇骨は冗談半分で聞いているようだが、蛮骨にはそう思う当てがあった。
そしてその予想が正しければ、犬夜叉の到着が遅れるほどかごめの失望が大きくなることも想像にかたくない。
それもまた一興だなと、薄明けの空に消えゆく月を見上げた蛮骨はたのしげに目を細めた。

<終>

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